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第2回おもてなしとその応用国際会議

The 2nd International Scientific Conference on Hospitality and its Applications(ISCHA)

「第2回 おもてなしとその応用国際会議The 2nd International Scientific Conference on Hospitality and its Applications(ISCHA)」を2019年11月15日(金)、11月16日(土)の2日間にわたり「京都工芸繊維大学60周年記念館」「門前宿 和空法隆寺」を会場として開催いたしました。

10年以上前から京都工芸繊維大学の伝統みらい教育研究センターとともに日本の伝統文化の匠(職人さん)のものづくりの技の暗黙知の形式知化、数値化に取り組んでおります。
“OMOTENASHI”は東京オリンピック誘致から今や世界の共通語となっている感があります。
日本料理の世界遺産登録は料理そのものだけでなく、その背後にある日本文化、歴史、とりわけおもてなしの心も一緒に認められたと考えられます。
このことは海外で認められる製品は、製品そのものだけでなく、その背後にあるものづくりの文化や歴史さらには作り手の生き方などを付け加えた何かが必要であることを物語っています。
“おもてなし” は日本人が誇りとすべき文化であり、それが世界に拡まることは平和な世界の創成につながることは明らかであります。
しかし、“おもてなし” とは何ですかということを、異文化の中で育った人々に説明することは容易ではありません。
精神論だけでは分かりにくいものがあります。そこで論理だって説明することが求められ、それが“おもてなしを科学する”ことに繋がります。
本会議の英語名には
International Scientific Conference on Hospitality and its Application (ISCHA) というように、Scienceという言葉を盛り込んでおります。
“おもてなし”を縦書きで語るのではなく、横書きのことばで理解しようとする試みであります。
現在、日本の伝統文化は、伝統工芸品の需要低下と後継者不足から存続が危ぶまれています。
この問題を解決するためには、日本の伝統技術・伝統文化が衰退していく中で技術や文化を守るという消極的な姿勢ではなく、積極的に発展させることが必要だという考えにいたりました。
伝統の良さを万人に、特に外国人や日本の若者に理解してもらうためには暗黙知の形式知化、数値化がそのひとつではないか?
そして今や、日本をあらわす代表的な言葉として世界中の人々が知っている“おもてなし”が日本伝統文化を知り、そして興味をもつきっかけとなればという思いから、
「第2回 おもてなしとその応用国際会議“おもてなし”で未来のビジネスを切り拓く」を多くの方々のご協力のもと開催することになりました。
“おもてなし”は、永年にわたり培われてきた日本伝統文化のうえになりたっております。
今回のこの国際会議を通して多くの人々に少しでも日本の伝統文化を理解していただくとともに、伝統文化を守ると同時に発展させる一助になればと考えております。

このような状況において「第2回 おもてなしとその応用国際会議The 2nd International Scientific Conference on Hospitality and its Applications(ISCHA) 」を開催することは意義深いと考えられます。

自然を愛し、相手をおもんばかり、美しさに満たされた所作により自己を表現する日本のOMOTENASHIを深く理解し、それを文化圏の違う人たちにも理解できるよう形式知化し発信する事により、平和な世界へと導く礎とすることを目指しています。


1日目「京都工芸繊維大学60周年記念館での開催」

実行委員長株式会社伝統みらい代表太田智子の挨拶
関西日本香港協会副会長田中義次氏による「海外から見た日本のおもてなし」特別講演

関西日本香港協会副会長田中義次氏に「海外から見た日本のおもてなし」特別講演をしていただきました。
田中氏は海外での勤務も長く、グローバルな視線をお持ちの方です。
日本のおもてなしは海外でも評判が高いと言われています。
日本の歴史的背景のもとに芽生えた伝統的なおもてなしと少子高齢化における国際的に通じるおもてなしについて
ご講演いただきました。
グローバル化・多民族化の中で日本の良さ・魅力を発揮し相手(世界)を感動させる。
これも「おもてなし」といえるのではないでしょうか。

「日本の伝統的空間のおもてなし」 岡本健志氏 株式会社IAO竹田設計上席執行役員

「お香の功徳と生体の自律神経に与える効果」 岩佐喜雲氏 株式会社岩佐佛喜堂代表取締役副社長

御弓師21代目柴田勘十郎氏による「京弓師のおもてなしの心と顧客管理」特別講演

御弓師21代目柴田勘十郎氏に「京弓師のおもてなしの心と顧客管理」特別講演をしていただきました。
柴田氏は私は技術者ですと言われます。
お付き合いしていますと柴田氏の底に流れる基本的な優しさが見えてきました。
それはお客様に対する優しさであり、おもてなしに通じるものがあるのではないでしょうか。

「弁護士のクライアントに対するおもてなし」 岩崎章浩氏 HEROリーガルグループ代表弁護士

「日本古来から伝わるおもてなし文化」 廣田剛祐氏 陰陽師

「中学校教育におけるおもてなし」 大門耕平氏 ヴォーリズ学園近江兄弟社中学校

「Great Hospitality of Japanese People in view of Turkish Resercher」Dr.Ozgur Demircan氏 Ondokuz Mayis University

「おもてなしの評価に関するレビュー」来田宣幸氏 京都工芸繊維大学准教授

「歯科医院におけるおもてなしへの科学的アプローチ」坂井秀明氏 医療法人育歩会坂井歯科医院理事長

「餅つきのつき手と合いの手の技」後藤彰彦氏 大阪産業大学教授

「おもてなしとこころ」岩崎和子氏 岩崎雅己法律事務所 顧問・臨床心理士





2日目「和空法隆寺での開催」

「オープンイノベーション活動におけるおもてなし」樋口裕思氏
大阪ガス株式会社オープンイノベーション室室長

「ゼロからわかる会いに行きたくなる仏像講座」中江太志氏 和空法隆寺企画部部長

皆様から様々な分野からみたおもてなしの研究発表をしていただきました。
日本のおもてなしはクライアントとのコミュニケーション、教育現場、医療サービスなど人々により良い暮らしを実現させ、日本の伝統文化である熟練技術にもまた取り入れられています。
また、日本のみならず海外でもまた、日本のおもてなしを存分に楽しんでもらうために各方面の分野が日々精進しています。

下出蒔絵司所4代目下出祐太郎氏による「蒔絵文化とおもてなし」特別講演

下出蒔絵司所4代目下出祐太郎氏に「蒔絵文化とおもてなし」特別講演をしていただきました。
下出氏は蒔絵を中心に制作や修理修復を活動の柱とし、文化財の調査や保存修理を手がけ、研究活動にも力を入れています。
作り手の伝統、天然素材から生み出す和の美は日本のおもてなしを映し出しているのではないでしょうか。

セントラルフロリダ大学准教授原忠之氏による「文化活動の経済的計測:文化サテライト勘定について」講演

セントラルフロリダ大学准教授原忠之氏は外的経営環境を数値化分析し、訪日外国人向けのサービスにおいて新たな目標への挑戦を掲げています。
日本のサービス・おもてなしに興味を持ち、日本へ旅行にくる外国人も増えてきていることからも、世界に誇れる文化といえるのではないでしょうか。
観光人材育成の高等教育においても、大変革が進み、英語は世界共通研究言語として急加速しています。
それに伴い、今まで不可能であった研究論文貢献数、世界の学者の生産性と影響度、学術誌のランクまで可視化することが可能となり、学術分野の国際競争力も一目瞭然になっています。

北山総合事務所・株式会社日本測量代表取締役北山雅章氏による特別講演

北山総合事務所・株式会社日本測量代表取締役北山雅章氏に特別講演をしていただきました。
北山氏は45年間に10000冊以上の本を読まれました。 気に入った著者の講演会「北山褒め倶楽部」を年4回開催しています。
毎朝4時に起床、本を読み、5時に出社。奥様の記念日には必ずおもてなしをするそうです。
北山氏はこう言います。「おもしろい人を応援したい!」
そして出会った全ての人々に「ありがとう」。これはまさにおもてなしといえるのではないでしょうか。

ユーシーシーフーヅ株式会社様から協賛

当日はユーシーシーフーヅ株式会社様からコーヒーが振舞われました。
休憩ブースが設置され、来場者は和の雰囲気の中、コーヒーブレイクを楽しんでおられました。
講演者・来場者共に交流を深める貴重な時間となったようです。

本会場である世界遺産・奈良県(斑鳩町)法隆寺を眼前に望む場所で宿泊ができる門前宿「和空法隆寺」

来場の皆様も和の雰囲気を味わいながら、熱心に発表をお聞きになられました。
発表に対して積極的に質問をし、感想を述べていただきました。

一日目の会議終了後は懇親会が行なわれました。
美味しいお食事、お酒を楽しみながら会議を振りかえり、意見交換など交流を深めることができました。

二日目の会議終了後は法隆寺小ツアーを行ないました。
和空法隆寺を後にし、皆様で法隆寺に向かいました。
現地では和空法隆寺中江氏の講演を参考に仏像の魅力に触れることができました。
第2回おもてなしとその応用国際会議は皆様のご協力で無事に閉会を迎えました。
この経験をふまえさらなる研究をすすめていきたいと思います。

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